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奥歯のインプラント治療のデメリットとメリットは?難しいとされる理由も解説

奥歯のインプラント治療のデメリットとメリットは?難しいとされる理由も解説

奥歯、すなわち臼歯部の欠損歯の治療法には、インプラント治療のほか、ブリッジ、入れ歯(有床義歯)などがあります。
この中で、治療の難度が高いのはインプラント治療ですが、インプラント治療にはブリッジや有床義歯にはない、さまざまなメリットがあります。
もちろん、メリットばかりというわけではありません。
デメリットもあります。

この記事では、奥歯のインプラント治療のメリットやデメリットを解説します。
この記事を読むことで、臼歯部のインプラント治療が難しいとされる理由やインプラント治療を選ぶメリット、そしてデメリットなどがわかり、次のような疑問や悩みが解決します。

この記事でわかる事

  • 臼歯部のインプラント治療が難しいとされるのはどうしてなのか
  • 臼歯部のインプラント治療にはどのようなメリットがあるのか
  • 臼歯部のインプラント治療にはどのようなデメリットがあるのか

臼歯部のインプラント治療が難しい理由

臼歯部のインプラント治療が難しいとされる理由は、以下のとおりです。

解剖学的条件(上顎)

上顎臼歯部のインプラント治療を難しくするのは、上顎洞という上顎骨の骨体中にある錐体のような形状の空洞の存在です。
上顎洞の底面は、上顎骨の歯槽突起部を介して口腔と近接しています。このため、歯槽突起部の厚みが薄い場合、フィクスチャーの埋入窩の形成時に上顎洞底を貫通したり、埋入時に上顎洞内にフィクスチャーが迷入したりするリスクがあるからです。

解剖学的条件(下顎)

下顎臼歯部では、下顎管という下顎枝の中央付近から下顎体の小臼歯付近につながる骨体中の導管の存在が、インプラント治療を難しくしています。
下顎管の中には、三叉神経の枝のひとつである下歯槽神経や下歯槽神経血管束と呼ばれる動静脈が走行しています。
下顎管上部の骨量が減少していると、フィクスチャーの埋入窩の形成時、埋入時に下顎管を損傷し、神経損傷、血管損傷をきたすリスクがあります。また、下顎臼歯部の舌側には舌神経も走行しており、損傷すると舌神経麻痺を生じるリスクがあります。
舌神経は画像検査では検出できないので、これも下顎臼歯部のインプラント治療を難しくする要因の一つです。

咬合力

歯の役割は歯種によって異なり、簡単に分けると前歯は食べ物を噛み切る、臼歯は食べ物をすり潰す役割を担っています。食べ物をすり潰すには大きな力が必要となるので、臼歯に加わる咬合力は必然的に高くなります。最奥にある大臼歯では体重に匹敵する咬合力が加わると言われています。
天然歯には歯根の周囲に歯根膜という線維性組織があり、咬合圧を受け止めるほか、咬合時の圧力を感知する神経終末がきています。インプラントには歯根膜はありませんので、咬合圧を受け止めることはできず、咬合圧がインプラントに直接加わります。
臼歯部のインプラント治療では、強い咬合圧を受け止めなければならず、これも臼歯部のインプラント治療が難しい理由の一つです。

開口距離

開口運動は、下顎頭を中心として前方移動を伴う下顎骨の回転運動による運動です。
回転の中心から離れるほど大きく開きますが、臼歯部は回転の中心に近いので、前歯部ほど広く開口できません。開口距離が短いうえに臼歯部は口腔の奥なので、アプローチが困難、暗く視野も狭いという悪条件が重なることも、臼歯部のインプラント治療を難しくしています。

臼歯部のインプラント治療のメリット

臼歯部のインプラント治療には、次のようなメリットがあります。

臼歯部の咀嚼能力の回復

インプラントは骨と結合しますので、天然歯に匹敵する咬合力が得られます。
咬合力は、ブリッジでは支台歯の状態にも左右されますが、天然歯の6割程度、入れ歯(有床義歯)ではよくて3割程度とされています。
臼歯部をインプラント治療で補綴すると、高い咬合力を獲得できます。

咀嚼時の快適さ

入れ歯(有床義歯)は、義歯の内面に食渣が入り込む、咬合時に疼痛を感じる、装着時の違和感などが起こり得るので、快適に食事をするのは難しいです。
ブリッジは、有床義歯ほどではありませんが、ポンティックの接合部分に食渣が挟まる、ポンティックの底面の違和感などがあり、天然歯ほど快適に食事できるわけではありません。
インプラントは、天然歯と近似した形状、咬合力から快適に咀嚼できます。

構音機能の回復

臼歯部の欠損状態では、発声時に呼気が欠損部から漏出してしまいます。臼歯部からの呼気の漏出は、母音のイ音に影響する可能性があり、カ行、サ行、タ行のイ音の発音が不明瞭になる可能性が高くなります。
臼歯欠損部をインプラントで治療すると呼気の漏出が防げるので、構音機能の回復も期待できます。

咬合高径の低下による低位咬合の防止

臼歯部の欠損を放置していると咬合高径が下がり、それに伴い下顎が偏位します。咬合高径の低下に伴う下顎の偏位は多くの場合、低位咬合となって現れることが多いです。
一度偏位した顎位の回復は、たいへん困難です。
臼歯部をインプラントで治療すると咬合高径が保たれるので、下顎の偏位を防ぐことができます。

骨吸収の抑制

歯を支えている歯槽骨は、歯を喪失すると次第に吸収されて減少します。
インプラントを入れていくと、インプラントからの咬合圧が刺激となり、歯槽骨の吸収を抑えることができます。

ブラッシングが容易

ブリッジで補綴した場合、ポンティック部分のブラッシングは困難です。また、入れ歯(有床義歯)では、義歯を外さなければ鉤歯のブラッシングはできません。
インプラントの形状は天然歯に近似していますので、欠損前と同様なブラッシングでケアできます。

残存歯への負荷がない

ブリッジは、支台歯がポンティックに加わる咬合圧を支える歯根膜負担型の補綴物なので、支台歯に大きな負担がかかります。入れ歯(有床義歯)では、クラスプやレストを通して鉤歯に咬合圧が加わるだけでなく、義歯の着脱時にも負担がかかります。
インプラントは、インプラント自体が咬合圧を受け止める設計になっているので、残存歯に負荷をかけることがありません。

臼歯部のインプラント治療のデメリット

続いて、臼歯部のインプラント治療に伴うデメリットを紹介します。

治療費の高さ

インプラント治療は一部の例外を除き、原則的に保険診療の適用を受けていません。
このため、治療費はインプラント治療を行なっている歯科医院ごとに異なりますが、一般的に高額な設定になっています。
保険診療で受けるブリッジや入れ歯(有床義歯)と比べると、治療費は一桁高く、これも臼歯部だけではありませんが、インプラント治療のデメリットといえます。

治療期間の長さ

現代のインプラント治療は、フィクスチャーと骨の結合、すなわちオッセオインテグレーションを応用した治療法です。
オッセオインテグレーションは骨の条件にもよりますが、通常、上顎で6ヶ月程度、下顎で3〜4ヶ月ほどかかりますので、治療期間も長くなります。
ブリッジや入れ歯(有床義歯)による欠損歯治療では、これほど長期にはならないので、治療期間の長さも臼歯部だけではありませんが、インプラント治療のデメリットのひとつです。
南青山パーソン歯科では、症例にもよりますが治療期間の平均が上顎で3ヶ月程度、下顎で2ヶ月程度となっております。

骨量によっては骨造成術が必要

インプラント治療はオッセオインテグレーションを応用していますので、インプラント周囲の骨量がインプラントの安定性を左右します。
インプラント周囲に十分な骨量が確保されない場合は、骨量を増やすために骨造成術を追加で行う必要があります。

【まとめ】奥歯のインプラント治療のデメリットとメリットは?難しいとされる理由も解説

奥歯(臼歯部)のインプラント治療について、そのメリットやデメリットについて解説いたしました。
この記事では、下記のようなことがご理解いただけたのではないでしょうか。

この記事の要約

  • 臼歯部のインプラント治療が難しい理由は、解剖学的条件や咬合圧、開口距離などである
  • 臼歯部のインプラント治療のメリットは、わかりやすいところでは“咬合力の高さ” “快適な咀嚼感”などである
  • その他のメリットとしては、“構音機能の回復力” “下顎偏位の予防” “残存歯への負荷がない”などが挙げられる
  • 臼歯部のインプラント治療のデメリットは、“治療費の高さ” “治療期間の長さ” “骨条件”などがある

臼歯部のインプラント治療には、前歯部のそれにはない難しさがあります。しかし、インプランチ治療には、治療の難しさを上回る多くのメリットがあるのも事実です。そして、臼歯部のインプラント治療はその他の欠損歯治療と比較して、たいへん優れた特徴を持っています。
奥歯の抜歯を予定している方、奥歯がすでに欠損していて入れ歯(有床義歯)など、他の治療法を選んだが満足できていない方は、南青山パーソン歯科にご相談ください。

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