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埋伏智歯・水平埋伏智歯 (親知らず)の抜歯手順と注意点は?放置した場合のリスクも解説

埋伏智歯・水平埋伏智歯 (親知らず)の抜歯手順と注意点は?放置した場合のリスクも解説

親知らずは、“埋まっている” “横向き” “真横に倒れている”ことが多いです。このような状態になっている親知らずを埋伏智歯、水平埋伏智歯といいます。
そして、この埋伏智歯や水平埋伏智歯の抜歯は、通常の抜歯と異なる手順で行われます。

この記事では、埋伏智歯や水平埋伏智歯の抜歯について解説します。
この記事を読むことで、親知らずの抜歯の難易度の差や埋伏智歯や水平埋伏智歯の抜歯の手順や注意点が理解でき、下記のような疑問や悩みが解決します。

この記事でわかる事

  • 埋伏・水平埋伏になる理由
  • 埋伏智歯・水平埋伏智歯はどのような手順で抜歯するのか
  • 埋伏智歯・水平埋伏智歯の抜歯の注意点は何か
  • 埋伏智歯・水平埋伏智歯を放置しているとどのようなリスクがあるのか

親知らずが埋伏・水平埋伏になってしまう理由

親知らずが埋伏、水平埋伏になる理由には、人類の顎骨の小顎化、顎に対して歯の進化が遅く、萌出順序が最後といった要因が考えられます。

小顎化

親知らずが埋伏・水平埋伏になるのは、萌出する空間が不足しているからです。空間が不足している理由は、人類の顎骨の小顎化です。
猿人だった数百万年前から肉食を始めたことで、植物食だったそれ以前と比べて、食べ物を噛む必要性が低下し始めます。原人に進化した数十万年前から火を使って調理するようになり、食べ物がより柔らかくなり、噛む必要性がさらに減りました。現代では、食べ物の加工技術が良くなった結果、ますます噛む必要性が下がっています。
人類は、噛む必要性が低下した数百万年前から顎を発達させる必要がなくなり、顎が小さくなってきています。

歯の進化の遅さ

顎の骨は数百万年前から小さくなり始めましたが、歯はそうではありません。歯は動物の体の中で最も安定性が高い組織で、骨の変化が数十万年単位なのに対し、歯の変化には数百万年以上の時間がかかると考えられています。
このことから、顎の縮小に歯の大きさが対応できていないため、歯が生える空間が不足するようになったと考えられています。

萌出順序

歯の萌出順序の中で、親知らずは最も遅くに生えてきます。
年齢的にも顎の成長発育が終了している時期と顎の縮小傾向もあり、萌出する空間が足りず、埋伏、もしくは水平埋伏せざるを得なくなったものと考えられています。

埋伏智歯・水平埋伏智歯の抜歯の手順

埋伏・水平智歯の抜歯は、麻酔、切開、剥離、骨削合、歯冠と歯根の分割・脱臼、掻爬、縫合の順に行われます。
ここに挙げるのは一般的な手順です。親知らずの萌出状況により、抜歯の方法は変わり得ます。

麻酔

埋伏智歯や水平埋伏智歯の抜歯時の麻酔は、基本的に浸潤麻酔です。
表面麻酔ののち、智歯の頬側歯肉や遠心歯肉、舌側(口蓋側)歯肉に刺入します。伝達麻酔を併用することもあります。

切開

埋伏智歯・水平埋伏智歯の抜歯では、歯冠の萌出状態によって切開が必要になります。
切開線は、第二大臼歯の遠心面から頬側遠心方向への延長切開と、第二大臼歯の頬側面からの縦切開を設定します。いずれの切開線も粘膜、骨面に垂直にメスを入れ、骨膜まで切開します。

剥離

切開したのちは、剥離子を用いて粘膜骨膜弁を形成します。
粘膜骨膜弁の形成は、術野の明示や歯冠分割時の歯肉損傷の防止のために大切です。粘膜骨膜弁は、骨膜まで切開した切開線から剥離を始め、骨膜を骨面から剥がす全層弁にします。

骨削合

粘膜骨膜弁を翻転すると、埋伏智歯、水平埋伏智歯の歯冠の一部が現れます。場合によっては、歯嚢に覆われていることもあります。
ラウンドバーで歯冠部を被覆している骨を削合して、除去し歯冠を明示します。歯嚢も可及的に除去します。骨の削合範囲は、歯冠の最大豊隆部が露出するまでです。

歯冠と歯根の分割

最大豊隆部が露出したのち、歯頚部あたりで智歯をダイヤモンドバーなどで削合し、歯冠と歯根を分割し、歯冠を除去します。

脱臼

歯冠部を除去したのち、歯根を脱臼させて抜去します。
歯根を抜去する際、第二大臼歯の遠心面からの距離が狭小である場合は、歯根を分割することもあります。

掻爬(そうは)

抜歯後、歯冠部を中心に残存している肉芽組織を掻爬・除去し、生理食塩水で洗浄します。このとき、残存歯質の有無も確認します。

縫合

粘膜骨膜弁を元の位置に戻し、縫合して閉創します。

智歯抜歯時の注意点

智歯抜歯時の注意点は、上顎の場合と下顎の場合で変わってきます。

上顎洞穿孔(上顎)

上顎洞は鼻腔の横、眼窩の下方に位置する頭蓋骨の腔洞です。
智歯の歯根が上顎洞底に近接している場合や上顎洞内に突出している場合、埋伏抜歯時に上顎洞に穿孔することがあります。特に根尖病巣を形成している場合や、埋伏智歯周囲の歯槽骨が抜歯時に骨折した場合に穿孔しやすいです。

上顎洞迷入(上顎)

上顎洞底に埋伏智歯が近接している場合、抜歯時に智歯を上顎洞内に落とし込むことがあります。

上顎結節損傷(上顎)

上顎結節は、上顎骨の後方にある骨膨隆です。
上顎の埋伏抜歯時に上顎結節を骨折すると、大口蓋動静脈や翼突筋静脈叢を損傷し、出血をきたす原因になります。

下顎管損傷(下顎)

下顎管は、下顎骨内を走行する管です。内部には、下歯槽神経という下口唇やオトガイ部の知覚を支配する神経、下歯槽動脈、下歯槽静脈が走行しています。
埋伏抜歯に際し、下顎管を損傷すると、下歯槽神経の知覚麻痺や知覚鈍麻、出血をきたすことがあります。

舌神経損傷(下顎)

舌神経は、舌の知覚を司る神経です。下顎骨の後方の舌側を走行し、舌に分布します。
埋伏抜歯時に舌神経を損傷すると、舌の知覚麻痺や知覚鈍麻が生じ、味覚が低下する可能性があります。

頬神経損傷(下顎)

頬神経は下顎神経の枝のひとつで、頬側歯肉や頬粘膜、頬部皮膚の知覚を支配しています。
埋伏智歯抜歯に際し、下顎孔伝達麻酔を行った場合に損傷する可能性があります。

顔面動脈損傷(下顎)

埋伏抜歯に際して第3大臼歯頬側歯肉の粘膜骨膜弁形成時に、全層弁で剥離すると骨膜の奥に顔面動脈の本管が露出することがあります。その場合、顔面動脈を損傷すると大量出血をきたす可能性があります。
また、顔面静脈も顔面動脈の前方を走っているため、ここから出血する可能性もあります。

皮下気腫(上顎・下顎)

皮下気腫は、皮下組織内に気体が侵入し、突発的に顔面や頚部のびまん性の腫脹を伴う病態です。
埋伏抜歯で歯冠や歯根を分割するときに、エアータービンからのエアーが皮下組織に入り込むと発症することがあります。

皮下出血斑(上顎・下顎)

皮下出血斑は、皮下に出血することで生じる紫斑(あざ)です。
埋伏抜歯後、内出血した血液が皮下組織に貯留すると生じます。

抜歯後治癒不全(上顎・下顎)

抜歯後治癒不全は、抜歯窩が血餅で満たされず、骨が露出し、歯槽骨炎をきたす病態です。自発痛や抜歯創周囲の炎症を伴います。
埋伏抜歯後にはしばしばみられ、7〜14日ほどで改善することが多いです。

抜歯後感染(上顎・下顎)

智歯抜歯後の抜歯窩に生じた細菌感染です。

仮性動脈瘤(上顎・下顎)

仮性動脈瘤は、動脈壁の損傷により動脈とその周囲組織との間が交通し、動脈の血管壁の外側に形成される血液瘤です。
埋伏抜歯に際し、動脈を損傷すると仮性動脈瘤を形成することがあり、反復性の術後出血の原因となります。

埋伏智歯放置のリスク

埋伏智歯・水平埋伏智歯を抜歯せず、放置していると次のようなリスクが発生すると考えられます。

智歯周囲炎

智歯周囲炎の罹患率は25歳以降で上昇していきます。特に半埋伏状態や近心傾斜状態の智歯でその可能性が増加します。

齲蝕症

智歯が半埋伏や近心傾斜している場合、第二大臼歯の遠心を中心に齲蝕症の発症率が上がります。

第二大臼歯の外部吸収

智歯の歯冠などが第二大臼歯に直接接触している場合、第二大臼歯に外部吸収が起こる可能性が高いです。

骨性癒着

骨の柔軟性は年齢とともに低下し、同時に歯根と骨が癒着する可能性が高まります。埋伏抜歯、水平埋伏抜歯も通常の抜歯と同様に、骨の柔軟性が抜歯の難易度に関係していますし、骨性癒着を起こすと難度はかなり上昇します。
親知らずを放置したまま高齢になると、抜歯の難度が高くなります。

妊娠

妊娠中、ホルモンバランスの変化により、智歯周囲炎を起こす可能性が高まります。

【まとめ】埋伏智歯・水平埋伏智歯 (親知らず)の抜歯手順と注意点は?放置した場合のリスクも解説

埋伏智歯や水平埋伏智歯の抜歯について解説しました。
この記事では、下記のようなことがご理解いただけたのではないでしょうか。

この記事の要約

  • 親知らずが正常に萌出しないのは、萌出するための空間が不足しているから
  • 親知らずの抜歯は、麻酔、切開、粘膜骨膜弁形成、分割、脱臼、掻爬、縫合の順で行われることが多い
  • 上顎の埋伏抜歯では、主に上顎洞への穿孔や迷入に注意が必要
  • 下顎の埋伏抜歯では、主に下顎管や舌神経の損傷に注意が必要
  • 上下顎に共通することとしては、抜歯後治癒不全や皮下気腫、皮下出血などに注意が必要
  • 埋伏智歯や水平埋伏智歯を放置していると、齲蝕症や智歯周囲炎、第二大臼歯の外部吸収を起こす可能性がある

親知らずの多くは埋伏智歯や水平埋伏智歯です。このため、埋伏智歯や水平埋伏智歯の抜歯は、粘膜や骨を含む複雑な抜歯術になります。そして、埋伏智歯や水平埋伏智歯の抜歯は通常の抜歯と異なり、複雑な小手術になることが多いです。
親知らずの抜歯について、ご質問や不安のある方は、港区の青山一丁目駅、外苑前駅から徒歩3分にある南青山パーソン歯科にご相談ください。
口腔外科を専門とする歯科医師が患者様の疑問やご不安に寄り添い、丁寧に診察、診断をさせていただきます。

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