歯科定期検診とは
歯科定期検診とは、定期的に歯やお口になんらかの病気が生じていないかをチェックし、必要な専門的なメンテナンス処置を実施することです。
虫歯や歯周病を予防すると同時に初期段階での治療を受けるきっかけとなり、歯やお口の健康を守ることができます。
歯科検診と歯科健診の違い
“検診”と“健診”、読むとどちらも“けんしん”なので同じですが、実は両者には大きな違いがあります。
“検診”は何らかの病気の有無を調べること、“健診”は健康かどうかを調べることを言います。ですので、“がん検診”はあっても、“がん健診”はないわけです。歯科も同じで、“歯科検診”は、虫歯や歯周病などの病気がないかどうかを調べ、一方、“歯科健診”は、歯やお口の健康に異常がないかどうかを調べます。
実施主体にも違いがあり、“歯科検診”は歯科医院、“歯科健診”は地方自治体などの行政組織が行なっていることが多いようです。
歯科定期検診の重要性とメリット
痛みや腫れなど何らかの症状がないにも関わらず、歯科定期検診を受けるのはモチベーションが生まれないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は歯科定期検診は、歯やお口の健康にとってとても重要で大きなメリットがあります。
虫歯や歯周病の早期発見
虫歯になると歯が痛くなる、歯周病になると歯肉が腫れたり、出血したりするというイメージがあると思います。確かにそれはそれで間違っていないのですが、初期段階ではこれらのイメージのような症状はほとんどなく、気が付かない方が多いです。
歯科定期検診を受けると、気づかないような初期の段階で虫歯や歯周病を見つけ出すことができます。
虫歯や歯周病の早期治療
虫歯になったところは、削って取り除かなくてはなりません。大きくなってからでは、虫歯の穴と合わせて虫歯を取り除くと大きな穴が開いてしまいます。歯周病が進むと、歯を支えている骨がどんどん減っていきます。一度減った骨は、元に戻ることはありません。
すなわち、自覚症状がほとんどないうちに治療を始めた方が、歯やお口の受けるダメージが少なくてすむわけです。
歯科定期検診は虫歯や歯周病を早いうちに見つけ出すことができるので、早期治療の糸口を得ることができます。
虫歯や歯周病の予防
虫歯や歯周病は、一度なってしまうと元に戻りません。初期段階で見つけ出すのもいいですが、そうならないようにできるのならそれがベストです。
幸い、虫歯や歯周病の原因は明らかになっています。歯科定期検診を受けていただければ、虫歯や歯周病の早期発見だけでなく、それ自体にならないように予防することもできます。
歯科定期検診には、歯の健康にとって大きな効果があります。
歯科医院に通う頻度を減らせる
虫歯治療や歯周病治療って、長くかかるイメージがありませんか?
実際、進んだ虫歯や歯周病の治療は、1ヶ月以上かかることも珍しくありません。もし、抜歯になると、さらに日数がかかります。
歯科定期検診は、それほどの日数は必要ありません。歯科定期検診には歯科医院に通院しなければなりませんが、治療にかかる日数と比較してみると、通院頻度を減らすことができます。
医療費の軽減
医学の発展によって、歯周病が糖尿病、心臓疾患、アルツハイマーなど、さまざまな病気に関係していることが明らかになりつつあります。
例えば、歯科定期検診で虫歯や歯周病を予防できれば、糖尿病の数値の改善が期待できます。そうなれば、医療費を抑えることも可能です。
歯科定期検診には医療費を抑える、すなわち全身の健康にとってとても大きな効果があります。
口臭予防
口臭の原因の大部分はお口の中の汚れ、虫歯や歯周病などの歯の病気です。
歯科定期検診を受ければ、口臭の原因となるお口の汚れがなくなり、虫歯や歯周病が防げるので、口臭を防ぐ効果も期待できます。
歯科定期検診の内容
健康診断では、身長、体重を測ったり、血圧測定、尿検査、視力、聴力を調べたりしますが、歯科定期検診ではそのようなことは行われません。
当院の歯科定期検診では、次のようなことを行なっています。
問診
歯科定期検診の最初は問診です。
何か気になることはないか、現在治療中、そして過去にかかったことのある病気の有無、薬や食べ物のアレルギーの有無、処方されている薬の有無、妊娠の有無などをお聞きします。
加えて、歯磨き習慣などの歯やお口の健康に関わる生活習慣も確認します。
お口の状態のチェック
続いて、歯やお口の状態をチェックします。
虫歯や歯周病は、初期段階では自覚症状がないことが多いです。
歯科定期検診では、虫歯や歯周病になっていないかどうかをチェックしますし、歯磨きができているかどうかもみます。
歯磨き指導
虫歯や歯周病の予防には、歯の表面についているプラークを取り除くプラークコントロールが大切です。なぜなら、虫歯や歯周病の原因菌はプラークの中にいるからです。
プラークコントロールの基本は、毎日の歯磨きです。歯の形、歯の並び方、歯の大きさなどは個人差があるので、適した歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスも異なります。
歯科定期検診では、皆さんに適した歯磨き用品のご紹介や使い方を説明しています。
歯のクリーニング
ご自身で歯をていねいに磨いていても、どうしても磨けないところ、磨き残しているところは生じるものです。また、プラークが古くなると唾液の成分と合わさって、歯石という石のように硬いものに変わります。
歯石の表面にはとても小さな凸凹があり、新たなプラークの温床になってしまうのですが、歯磨きでは歯石は取り除けません。
歯科定期検診では、磨き残したプラークや歯石を取り除く歯のクリーニングを行なっています。
フッ素塗布
虫歯予防にはフッ素がとても効果的です。そこで、フッ素の利用法はいくつかありますが、歯科定期検診では歯にフッ素を塗ります。
歯科で行なっているフッ素塗布は、フッ素入り歯磨き粉やフッ素入り洗口液よりフッ素の濃度が高く、虫歯予防効果が高いです。
フッ素塗布は、数ヶ月に一度で虫歯予防効果が得られますので、毎日のフッ素入り歯磨き粉を使う歯磨きと組み合わせて虫歯を予防しましょう。
歯科定期検診の通院頻度
一般的な健診は、年に1〜2回程度の頻度で行われます。
一方、虫歯や歯周病の原因である原因菌が増えるのに3〜4ヶ月かかりますので、歯科定期検診は3ヶ月程度を目安に受けていただくようお願いしています。
もし、虫歯や歯周病になりやすい方は、1〜2ヶ月間隔での受診をおすすめしています。
年齢別に見る歯科定期検診
歯やお口の状態は一定ではなく、実は年齢層によって異なります。したがって、定期検診も一律の内容で行うのではなく、ライフステージに合わせた内容にするのがたいへん効果的です。
乳児期(0〜3歳ごろ)
赤ちゃんの歯は、通常、生まれた直後にはなく、生後6ヶ月ごろから生えてくることが多いですが、個人差がありもう少し早く生えてくる子もいます。
そして、生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には虫歯の原因菌はいません。次第に周囲の人のお口の中にいる虫歯菌が入り込み、赤ちゃんのお口の中に定着していきます。ですので、虫歯予防にはこの時期から取り組むのがおすすめです。
また、歯やお口の健康、成長発育という面から、赤ちゃんの食事、飲み物などのアドバイスも行なっています。
歯科定期検診で赤ちゃんをイメージすることはあまりないかもしれませんが、乳児期からの定期検診は、一生涯にわたりお子さんの歯やお口の健康を守る第一歩になります。
幼児期(3〜6歳ごろ)
乳歯の歯並びは3歳ごろに完成します。
乳歯の虫歯は、放置していると永久歯の成長発育に悪影響を及ぼす可能性があります。また、この時期からご自身で少しずつ歯磨きができるようになります。
幼児期の定期検診では、乳歯の虫歯の有無だけでなく、もちろん仕上げ磨きは必要ですが、ご自身で歯磨きができるよう手助けもします。このほか、間食の機会も増えることから、虫歯になりにくい食習慣を身につけていただくことや、歯並びを悪くさせる癖のチェックもします。
学齢期(6〜18歳ごろ)
学齢期に入った頃から永久歯が生え始め、それにともなって乳歯が順番に抜けていきます。永久歯は乳歯と異なり生え変わることはないので、この後の長い人生で使い続けなければならない歯です。
歯は生えてから2〜3年ほどの間は虫歯になりやすいので、学童期を通して注意が必要です。また、この時期は成長発育が旺盛な時期で、歯並びや噛み合わせが決まる時期でもあります。
学齢期の歯科定期検診では、虫歯のチェックに加え、歯の生え方、並び方についてもみていきます。
青年期(18〜30歳ごろ)
学齢期までは虫歯のリスクが高いのですが、青年期以降は虫歯のリスクに加え、歯周病のリスクが高まります。歯周病はこれ以降、生涯にわたり歯を失う原因の筆頭に上がってきますので、歯周病予防が歯の健康にとって大変重要になります。
歯周病の原因も虫歯と同じく、プラークの中の細菌です。歯科定期検診でも虫歯と同じくらい、もしくはそれ以上に歯周病予防を重視して取り組んでいきます。
壮年期(30〜65歳ごろ)
壮年期に入ると新たな発生が無くなるわけではありませんが、虫歯や歯周病の新規発症の頻度は減り、その代わり治療した虫歯や歯周病の再発が増えてきます。この結果として、歯の本数が徐々に減っていきます。
歯科定期検診でも虫歯や歯周病の再発に十分注意し、再発予防を図り、歯が減らないように努めています。
高齢期(65歳〜)
高齢期に入ると、全身疾患を持つ方の割合も高くなります。
高齢化や病気の後遺症などの障害により歯磨きが難しくなる方も多くなるので、各人に合わせた歯磨きの練習に加え、定期的な歯石やプラーク除去がより重要になります。高齢期では歯の健康を保ち、歯が抜けないようにすることはもちろんですが、全身疾患との関係も重視した歯科定期検診が行われます。
よくある質問
虫歯は初期段階では痛みを感じないので、虫歯があることに気が付かない方がほとんどです。そのため、虫歯があることに早く気づくため、少しでも小さいうちに治療するきっかけを得るためにも歯科定期検診は必要です。
大丈夫です。ご家族でいらっしゃる方も多いです。
早めに予約のご連絡をいただければ、日程を合わせやすいのです。
基本的に大きく変わることはありません。
歯やお口の状態のチェック、歯石除去やPMTCという歯の掃除です。必要に応じて、レントゲン写真を撮影することもあります。
歯科定期検診の治療概要
治療方法 | 歯科定期検診 |
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治療の説明 | 歯科定期検診は、虫歯や歯周病などの歯やお口の病気の予防だけでなく、発症した場合に早期発見早期治療の機会を得る効果もあり、歯やお口の健康維持に大切です。 |
治療の副作用(リスク) |
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術後の制限事項 |
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