差し歯が取れたらどうする?取れる前兆や原因・対処法について

毎日食事を楽しんだり会話をしたりする中で、突然「差し歯」が取れてしまうと、大変驚き焦ってしまう方も多いのではないでしょうか。
差し歯が取れるのには様々な原因があり、完全に取れてしまう前に何らかの前兆が現れることも少なくありません。また、取れてしまった後に誤った対処をしてしまうと、残っている歯の根を傷つけたり、虫歯が進行したりと、さらに深刻なトラブルを引き起こす恐れがあります。
この記事では、差し歯が取れる前兆や原因、取れたときの正しい対処法、そして治療法や長持ちさせるためのポイントを詳しく解説します。
この記事を読むことで、差し歯が取れてしまった際の適切な行動や予防策を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
この記事でわかる事
- 差し歯が取れてしまう原因にはどのようなものがある?
- 差し歯が突然取れる前に動揺などの前兆やサインはある?
- 取れてしまった差し歯を自分で元の位置に戻したり、市販の接着剤でつけたりしても大丈夫?
- 取れた差し歯はどのように保管し、差し歯が取れた部分はどのように扱えばよい?
- 痛みがないからといって、差し歯が取れたまま放置するとどのような問題が起きる?
- 差し歯が取れた場合、歯科医院では再装着などのどのような治療が行われる?
- 差し歯を少しでも長持ちさせるためのセルフケアや習慣にはどのようなものがある?
目次
差し歯が取れる原因
差し歯が取れる原因は、二次齲蝕やセメントなどの経年劣化、ブラキシズムなどの咬合習癖、咬合関係の変化などです。
二次齲蝕
二次齲蝕は、再発した虫歯です。
差し歯が装着されている歯は失活しているので、齲蝕が再発しても自覚症状に乏しいです。再発した齲蝕が進行するにつれて、差し歯と支台歯の間に間隙が生じ、差し歯が脱落します。
経年劣化
差し歯はセメントで支台歯に固定しますが、セメントは唾液などの影響により徐々に劣化し、接着力が低下します。接着力が差し歯を支えられなくなるほどに低下すると、差し歯は取れてしまいます。
咬合習癖
咬合習癖は歯の噛み締めや擦り合わせなど、上下の歯を食事以外の時間に咬合させる癖で、ブラキシズムともよばれています。
咬合習癖があると差し歯に負荷がかかり、セメントの構造が破壊され、接着力が喪失し、差し歯が脱落します。
咬合関係の変化
歯の位置は一定ではなく、わずかに動いています。差し歯も装着してから時間が経つと、支台歯の位置が当初の位置より変化し、それに伴い咬合関係も変わります。
咬合関係の変化により、差し歯に不適切な咬合力が作用するようになると、それによりセメントが破壊されたり、歯根が破折したりし、差し歯が脱落してしまいます。
歯根破折
歯根破折は歯根が割れることです。
歯根破折が生じると、差し歯のコアを維持できなくなるので、差し歯が外れてしまいます。
差し歯が取れる前兆
差し歯は突然取れるのではなく、動揺や咬合時の違和感、歯周組織の違和感などの前兆がある場合もあります。
動揺
差し歯が取れる前兆として多いのが、差し歯の動揺です。
差し歯のコアの周囲に二次齲蝕が再発したり、セメントが劣化したりすることで差し歯が緩むことで起こります。
咬合時の違和感
差し歯が取れる際、少し浮き上がることがあります。
浮き上がりが生じると、咬合時に差し歯が早期接触を起こすので、咬合時に違和感を感じることがあります。
歯周組織の違和感
差し歯が緩むと、差し歯と支台歯の間に隙間ができます。この隙間にはプラークがたまりやすい上、ブラッシングが困難なので、歯肉炎を起こしやすいです。
差し歯の周囲の歯肉に違和感を感じたら、差し歯が取れる前兆かもしれません。
差し歯が取れたときの注意点
差し歯が取れたときには、取れた差し歯を歯に戻さない、接着剤でつけない、取れた差し歯は容器で保管するなど、守っていただきたい注意点がいくつかあります。
戻さない
例え前歯の差し歯など一見すると戻しやすそうな差し歯でも、ご自身で戻すのは避けてください。
戻し方が少しでもずれていると、咬合時に差し歯のコアの部分がテコの作用を発揮して、歯根が割れてしまう可能性があります。
接着剤は使わない
戻してはいけない話にも通じるところがあるのですが、瞬間接着剤で歯に接着することもしてはいけません。
例えきれいにつけられたとしても、はみ出した瞬間接着剤を取り除くのは難しく、残った接着剤により清掃性が低下し、歯肉炎や二次齲蝕を起こす原因になります。
また、きれいに取り付けられなかった場合、歯に残った瞬間接着剤を取り除くこともたいへん困難です。瞬間接着剤などの接着剤を使って、ご自身で戻すことは決してしないようにしましょう。
取れた差し歯は容器に保管する
取れた差し歯は、歯科医院で見てもらうまで容器に入れて保管してください。
ティッシュペーパーで包む、もしくはそのままの状態にしていると、差し歯が破損したり変形したりする可能性があります。
触らない
差し歯が取れた歯は、取れた原因がわからないうちは指や舌で触らないようにしてください。もし、支台歯の辺縁に亀裂が入っていると、触ることで亀裂が拡大する可能性もあります。
噛まない
差し歯が取れると、その歯では咬合することはできません。
ですが、食塊の大きさによっては、咀嚼時に支台歯に接触する可能性は十分ありますし、硬固物なら咀嚼時の圧力が支台歯に加わり、支台歯を損傷する可能性も考えられます。
差し歯が脱離した側の反対側の歯で咀嚼するようにしましょう。
放置しない
差し歯はすでに失活しているので、脱離しても疼痛などの自覚症状が発現することは稀です。このため、奥歯など目立ちにくく、咀嚼も残存歯で十分行える場合に放置してしまう方がいらっしゃいます。
脱離当初は二次齲蝕もなく、歯根に障害もない状態であっても、放置している間に二次齲蝕が発生する、歯根に亀裂が生じるなどの問題が生じる可能性があります。
差し歯は取れたままにせず、できるだけ早めに歯科医院で診てもらうようにしましょう。
差し歯が取れた時の治療法
差し歯が取れた場合の治療法は、再装着、再製作、感染根管治療などです。
再装着
取れた差し歯だけでなく、支台歯側にも問題がない場合は再装着することが可能です。
再製作
支台歯側に問題がなくても、差し歯の適合状態に問題がある場合は、差し歯を再製作します。
支台築造ののち、支台歯形成、印象採得、咬合採得と進み、差し歯を新製します。
感染根管治療
支台歯側に根尖病巣が認められる場合、まず感染根管治療を行います。
根管内部の無菌化、根管充填ののち、支台築造を行い、差し歯を新たに作ります。
抜歯
支台歯の歯根破折など、差し歯を新たに作れるような状態でなければ抜歯します。
抜歯後は、残存歯の状態により、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどから最適な治療法を選びます。
差し歯を長持ちさせるポイント
差し歯を少しでも長持ちさせるには、日々のセルフケアや定期的なメンテナンス、マウスピース、咀嚼習慣の見直しなどが効果的です。
セルフケア
差し歯を長持ちさせるポイントの基本は日々のセルフケア、すなわちブラッシングです。
セルフケアでは、歯ブラシでの歯面清掃に加え、歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助清掃用具を使った歯間部分のケアも重要です。日々のセルフケアにより、差し歯の二次齲蝕を防ぎ、歯肉の炎症を予防することで、差し歯が取れる原因を減らします。
定期的なメンテナンス
定期的なメンテナンスも、差し歯を長持ちさせるのに有効です。
メンテナンスを受けても、セメントの経年劣化による脱離を防ぐことはできませんが、メンテナンスでは咬合関係も確認しますので、咬合の変化による脱離を防ぐ効果が期待できます。
また、差し歯のフィニッシュラインのあたりについたプラークや歯石を除去することで、二次齲蝕や歯周病を予防できるので、二次齲蝕による脱離も予防できます。
マウスピースの製作
歯ぎしりや食いしばりなどの咬合習癖のある方やスポーツ選手の方などは、咬合力が差し歯に悪影響を及ぼさないようにすることがマウスピースを長持ちさせるために重要です。そこで、マウスピースを作ってお使いになることで、咬合力をマウスピースに負担してもらい、差し歯に悪影響が及ぼさないようにします。
市販のマウスピースもありますが適合性が良くないので、歯科医院で印象採得してマウスピースを製作することをおすすめします。
咀嚼習慣の見直し
差し歯のある側での片側咀嚼は、差し歯への負荷がかかり脱落する原因になります。
そこで片側で咀嚼する食習慣のある方は、両側の歯で咀嚼するようにすると、差し歯への負荷が減少し、差し歯が長持ちします。
【まとめ】差し歯が取れたらどうする?取れる前兆や原因・対処法について
差し歯が取れる原因や前兆から、取れた時の注意点と治療法、そして長持ちさせるポイントについて詳しく解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
この記事の要約
- 差し歯が取れる原因には、二次齲蝕(虫歯の再発)やセメントの経年劣化、ブラキシズムなどの咬合習癖、咬合関係の変化、歯根破折などがある
- 差し歯が取れる前兆として、差し歯の動揺、浮き上がりによる咬合時の違和感、歯周組織(歯肉)の違和感などがある
- 差し歯が取れた際は、自分で元に戻したり、瞬間接着剤などでつけたりしてはいけない
- 取れた差し歯は破損や変形を防ぐために容器に保管し、取れた歯の周辺は亀裂を拡大させないために指や舌で触らないようにする
- 差し歯が脱離した側の反対側の歯で咀嚼するようにし、二次齲蝕などの問題が生じる可能性があるので絶対に放置せずに早めに歯科医院を受診する
- 取れた時の治療法には、支台歯等の状態に合わせて再装着、再製作、感染根管治療、抜歯からの代替治療(ブリッジ、インプラント、入れ歯など)が選択される
- 差し歯を長持ちさせるためには、ブラッシング等の日々のセルフケアや歯科医院での定期的なメンテナンスが効果的
- 咬合習癖がある場合はマウスピースを製作し、片側咀嚼の習慣がある方は両側の歯で咀嚼するように習慣を見直すことが重要
差し歯はすでに神経が失われているため、取れてしまっても痛みなどの自覚症状が出にくいのが特徴です。しかし、問題なく食事ができるからといって放置してしまうと、気づかないうちに虫歯が進行したり、歯根が割れたりする恐れがあります。
万が一取れてしまった場合は、自己判断で処置をせず、できるだけ早めに歯科医院で診てもらうことが非常に大切です。
もし現在、差し歯が取れてしまってお困りの方、差し歯がグラグラして違和感があると不安を感じている方は、放置せずにぜひ南青山パーソン歯科へご相談ください。
患者様のお口の状態をしっかりと検査し、長く健康な歯を保つための最適な治療をご提案いたします。
